【オフィス移転】流れ/チェックリスト/メリット・デメリットまとめ
【オフィス移転①】オフィス移転をする前に
通常の住居の引越しとオフィスの引越しとでは、引越しの目的が違う部分が大きくあります。
よくある住居の引越しでは、荷物を安全に引越し先まで運ぶことだけが主な目的です。とてもわかり易いです。
一方、オフィスの引越しは、荷物を運ぶことはもちろん、引越し後に問題なく業務を始められる状態にすることも大きなお目的にもなります。
また、オフィス移転で忘れてはいけない根本的な目的(意図)も多岐に渡り、その目的ごとに必要とされる動きは異なってきますので、十分に確認する必要があります。
- オフィス移転の目的1:事業拡大
事業の拡大や成長のためというのも、オフィス移転の目的の一つです。
どういった場合かというと、アフターフォローが競争優位となっているような会社の立地環境は、どんな環境が適切でしょうか?
上記のような場合だと、やはり「顧客との距離」は重要になると思います。
アフターフォローを必要とする顧客を精査し、その顧客の所在地リストを元に、
不動産会社に最適な物件選びを手伝ってもらう必要があるかもしれません。
- 事務所移転の目的2:業務運営の改善
業務の運営上の改善が必要で、オフィス移転するというのも目的の一つになります。
駅から遠い場所に会社があり、交通が不便であることが業務の生産性向上に支障をきたしているのであれば、
駅近くや多くの路線が通っていて便利な駅の近くにオフィスを構えることも考える必要があるかもしれません。
- 事務所移転の目的3:事業継続性の向上
事業を今後より長く続けていくために、セキュリティ面での改善が必要になり、そのたのオフィス移転も目的の一つです。
例えば、オフィスの立地や建物の形状にも大きく関わってきます。火災が起こってしまっても基幹システムまでは火が回らない形状の建物にする必要があるかもしれません。
- 事務所移転の目的4:認知度向上
事業を拡大する上で会社のブランド認知度の向上は重要課題になりました。そのため、ブランド認知度の向上もオフィス移転の目的の一つにもなりえます。
例えば、銀座、代官山、恵比寿、中目黒など地名に応じたブランドイメージを活用した会社ブランドの認知度向上の必要もあるかもしれません。
- 事務所移転の目的5:コスト削減
家賃等といった固定費のコストカットも、オフィス移転の大きな目的の一つです。
コスト削減が引越し目的の場合、金額交渉を軸に据えて、オフィス移転の準備を進める必要があります。
場合によっては、不動産業者や引越し業者が独自に持っているコネクションが優位に働くこともあると思います。
- 事務所移転目的6:人材確保
職探しをしている人にとっては、オフィス環境も職場選びの一つの指標になります。
よりオシャレな空間はオフィスで働くひとの満足度の向上にも繋がることもあるでしょう。
オフィスの移転目的が優秀な人材確保だった場合も、オフィス移転の大きな目的の一つになります。
【オフィス移転②】流れとスケジュール
ここでは、新オフィスへの移転するまでに発生するタスクとスケジュールについて順を追ってご紹介致します。
オフィス移転は引越し作業だけでなく、加えて多くの手続きが必要となるため、作業すべき内容やタイミングを把握しておくことが大切です。
オフイス移転6カ月前:移転スケジュールの全体計画・物件選び
オフィス移転は予想以上に時間がかかるものです。移転直前になってから慌てることのないように、移転スケジュールの立案や物件の選定は6カ月前に済ませておくのがベストです。
・移転スケジュールの全体計画
まず、現オフィスが何ヶ月前に解約通知をする必要があるのか等を確認し、その期間も含めて逆算して移転計画のスケジュールを組む必要があります。
また、企業が大きくなればなるほど組織が細分化し、その分整理しなければならない事項が煩雑化します。
そのため、各部署から担当者を選任して、オフィス移転のプロジェクトチームを作成すると全体的なスケジュール管理や連絡含めスムーズに進みます。
・物件選び
前述致しました「オフィス移転をする目的」に沿って、立地や広さ、賃貸料などの条件を設定し、物件を抽出していくことが大切です。
それに伴って、トイレや給湯室など共用部の使い勝手や、監視カメラや警備員の配置などのセキュリティ対策も必ずチェックしておきます。
いくつか物件候補を見つけ出したら、条件を比較検討していきます。物件の申し込み段階では、違約金等は発生しません。
ただし、契約後のキャンセルは違約金発生の条件に当てはまりますので十分に気をつけましょう。
オフィス移転5カ月前:レイアウト/コンセプトデザイン作成
移転の5カ月前オフィスのデザインやレイアウトについて検討し始めの時期になります。前述の通り、オフィスのデザインやレイアウトは社員のモチベーションアップや企業のブランディングにもつながるため、特にこだわりたい部分です。
また、社員の行動パターンを考えた導線を考え、従業員が快適に過ごせるような内装を取り入れる必要があります。なお、このタイミングで、内装業者の選定も必要です。工事期間はよく前後することがあるので、移転の3カ月前には内装工事に着手し、1カ月前には工事が完了を目安にすればいいと思います。
オフィス移転3~4カ月前:現オフィス物品整理・各種工事手配
移転の3~4カ月前を目安に、現オフィスの物品の整理や各種工事手配を行いましょう。ここを疎かにしてしまうと大きなスケジュール崩れといったトラブルが起こった際に柔軟に対応できなくなる可能性があります。
余裕を持って移転するためにも前もって準備しておきましょう。
- 現オフィスの物品整理
現在のオフィスから移転する物品、廃棄する物品を選別し、新規購入するものをリストアップします。
オフィスによってリストアップする項目は様々可と思いますが、電話やFAXなどのOA機器、家具や什器、備品などの移設や追加購入を検討することは忘れず行いましょう。
電話機やOA機器といった、メーカーが違うことで連絡先を一本化出来ない事項が多くあると思いますので、事前にそれぞれの対応をどうするのかまとめておくとスムーズになります。
- 各種工事手配
前述の通り、メーカーの違い等面倒な手配は事前にまとめておくことをオススメします。
一点頭の隅に置いておいて頂きたいのは、NTTといった業者に電話設備を依頼すると1ヶ月程の工事期間がかかったりするので前倒しで行っていきましょう。
その際に、メーカーやプランを再検討することで、手間を省くことが出来たりコストカット等に繋がる可能性も大いにありますので、そこらへんを見逃さないように前もって準備しましょう。
オフィス移転2カ月前:移転の届け出
付き合いのある業者等に対して移転の挨拶は移転の2カ月前を目安に、遅くとも1カ月前までに行うのが良いです。
業務の取引先のほか、取引のある銀行や宅配業者や郵便局といった見逃してしまいそうな先にも連絡を忘れずに。
挨拶漏れがあると移転後の業務に支障を来す場合もありますので、抜け漏れのないように送付先をリスト化しておきましょう。ホームページにオフィス移転をアラートする等も含めて検討して下さい。
オフィス移転1カ月前:引越し準備
住所変更があるということは、会社の住所が記載されているものは全て変更する必要があります。各部署と連携を取りながら、手配が必要なものを把握しておく必要があります。
主なものとしてホームページやパンフレット、名刺や封筒、社員証などリストアップしておくとよいでしょう。
荷物を梱包していくにしても、番号の割り振りなど事前にマニュアル化しておくことで、移転後にスムーズに搬入や開封作業ができたりもします。
オフィスがフロアや階数をまたぐときには便利なのでオフィス移転のルール等を決めておくと良いかもしれません。
オフィス移転直後:公的機関への届け出・原状回復工事
引越しが無事完了して、早速新オフィスで業務を始めたいところと言いたいですが、後々トラブルにならないように確認しておかなければならない事項があります。
以下ポイントをしっかり抑えて、抜け漏れのないオフィス移転にしましょう。
- 各種届け出
事務所を移転させた場合には各種届け出が必要です。
具体的には法務局、税務署、都道府県税事務所、社会保険事務所、公共職業安定所、労働基準監督署、消防署、郵便局、警察署などの公的機関が挙げられます。以上で挙げたような各所への届出は厄介なことに期間がバラバラです
例えば、労働基準監督署や公共職業安定所は移転後10日以内の提出をする必要があります。それぞれいつまでに提出しなければならないかを確認し、移転後速やかに提出できるよう準備しておきましょう。
- 原状回復工事
これは、移転前オフィスも移転後オフィスにも必要な確認作業になります。物件を退去する際は、入居時と同じ状態に「原状回復工事」をする義務があります。
どの程度回復させる必要があるのかの基準は法律でもある程度ルール化されていますが、ビルオーナーによって契約書に特約も盛り込むなどされていたりして異なるため、確認してから工事を依頼する必要があります。
なお、退去時の立会確認の際のトラブル防止のため、入居前後の様子が分かる写真・図面(竣工図、レイアウト図面など)があると回復範囲の確認に役立ちます。こういった、資料は次回のオフィス移転の際にも必要になりますので、必ず保管するようにしましょう。
【オフィス移転③】タスクチェックリスト
現オフィスのチェックリスト
□ 解約予告の時期の確認(契約書の確認) □ 原状回復条件及び費用
□ 敷金等の預け入れ金の返還時期の確認 □ 原状回復業者の選択が可能か
□ 新オフィス入居可能時期から逆算した引渡し時期 □ どの範囲で原状回復が必要か
□ 以上の各作業に対する業者手配とスケジュール、費用の確認
新オフィスのチェックリスト
- 社内の移転準備プロジェクトの編成
□ 移転の目的確認 □ 移転スケジュールの立案
□ 従業員への移転計画の説明
- 新オフィスの選定
□ 立地・場所 □ 従業員の通勤時間 □ 他の入居テナント
□ 周辺環境(銀行、郵便局、役所、飲食店、商業施設等の所在地含め)
□ コスト(賃料・共益費・敷金、保証金・更新料・礼金・預託金)
□ 内装業者の選定 □ 引越し業者の選定
□ 電話・FAX・OA機器移設の各専門業者選定
□ 以上概算費用
- オフィスプランニング 移転案内
□ 具体的なレイアウトプラン作成 □ 使用人数/一人あたりの面積
□ 新規什器備品・OA機器の購入or既存を検討 □ 上記内装工事見積
□ 案内文作成と送付(メールと文書)※文書の場合は印刷発注 □ 発送完了
内装業者・家具メーカー作業のチェックリスト
□ 目的に沿ったレイアウトか □ 工事スケジュールの確認
□ スペースの配分は適当か □ 企業イメージと合っているか
□ 電話・OA機器移設、引越作業等のスケジュール管理 □ 収納スペース確認
□ 間仕切り・内装など、エアコンが届くかどうかや法規上の問題はないか
□ 防災関係など、法規上問題はないか
□ 空調の変更・追加の必要性はあるか □ 電気容量は十分か
□ 電源が取り易い位置にあるか □ 家具・什器備品の無駄な発注はないか
□ 費用が適当であるか
引越業者作業のチェックリスト
□ 全体スケジュールの確認 □ 引越しマニュアルの作成
□ 移転物品・残留物品・廃棄物リスト作成 □ 廃棄物の処理方法
□ 梱包方法 □ 搬出・搬入方法
□ 社内説明会の開催 □ 社内への指示、作業の割り当ての確認
□ 最終レイアウトと現場との整合性 □ 鍵受け渡しの確認
【オフィス移転④】メリット・デメリット
オフィス移転のメリット
オフィス移転の主な理由は利便性の向上です。オフィスを移転することで、さまざまなメリットを得られることもあり企業によっては積極的に移転計画を進めていった方が良いこともあります。
まず、オフィス移転をすることは、優秀な人材を確保したい企業にとって大きな意味を持つといえます。新卒採用や中途採用で就職活動をしている人材は企業を志望するうえでオフィス環境を挙げることも珍しくありません。
都心の一等地などにオフィスを構えることは、それだけでも企業のブランドイメージを向上させ優秀な人材を集めやすくすることにもつながります。もちろんオフィスの立地だけでなく眺望や設備なども優秀な人材を引き付ける要素のひとつになります。
現オフィスを新オフィスに移転することで、立地や眺望、設備などが良くなれば新しい人材を集めることに役立つだけでなく、社員のモチベーションを向上させることもできるでしょう。このようにオフィス移転をすることは会社の将来に向けて大きな意味を持つといえるのです。
・ワーカーのモチベーション向上とコスト削減
一方、社員にとってもオフィス移転は大きなメリットになることがあります。それまでと環境が一変することによってモチベーションの向上を狙えるだけでなく、通勤の利便性の高い立地への移転であれば社員の通勤時間の短縮にもつながる可能性があります。
社員の通勤時間が短くなれば仕事に割ける時間をより確保しやすくなるメリットもあります。さらに会社が社員に支払う交通費を削減することも可能となり会社全体のランニングコストの削減にもつながるでしょう。
・コミュニケーションの活性化
オフィスの移転や改装などに踏み切るに至る経緯として、面積や家賃以外にも、期待する部分が多いのが実情だと思います。その1つとして見込んでいるものが、コミュニケーションの活性化ではないでしょうか。
今まで停滞気味だった部署内や部署の垣根を超えたコミュニケーションを、例えばマグネットスペースや休憩室などを設けることによって活性化させることが期待できるため、新しいアイデアが生まれやすい環境を作り出せます。
「気軽に会話しづらい」といった空気を読みすぎな嫌いのある日本人ワーカーは特に、「会話しやすい環境」という会社からの後押しの有無で、コミュニケーションに変化が起きやすいはずです。
・情報収集
近年はさほど重要な意味を持つとも言えなくなりつつありますが、たとえば、ライバル企業が軒を連ねるエリアにオフィス移転をすれば、相手の情報をいち早くつかむこともできるようになるでしょう。また金融業界などは、日本銀行の政策ひとつで業績が左右される面があります。
国会議事堂や日本銀行から程近い立地にオフィスを構えることで情報収集における利便性の向上を図ることができ、それを業績に反映させることも考えられます。このように、オフィス移転をすることは会社の業績にも大きな影響を与えます。
オフィス移転のデメリット
事務所移転をすることは多くのメリットもある一方、デメリット面も把握しておく必要があります。メリット・デメリットのバランスを見誤ると会社の業績にも少なからず影響を与えることになるでしょう。
・従業員のモチベーションダウン
オフィス移転によって従業員の通勤時間が短縮できる点はメリットでもある一方で、逆に移転することでかえって通勤時間が長くなる場合もあることを十分に理解しておく必要があります。立地は従業員の職場選びにとって、大きな判断基準になるでしょう。従業員の負担の増大(通勤のしやすさや仕事のしやすさが激変)が、会社を辞める理由になるということもありえるでしょう。
そのためオフィス移転を検討するなら、事前に社員の立場に立って、場合によってはヒアリングをしておくことも大切です。もちろん全員の意見を聞くことは難しいので、場合によっては会社と事業継続性の面から意見を十分に考慮する必要のある人材はピックアップする必要もあると考えられます。
・固定費の上昇
オフィス移転をすることで家賃などの固定費が上昇してしまうことがあることにも留意しなければなりません。事業拡大や社内環境の改善のためにオフィス移転をする場合は、従業員の増員や面積の増大に伴い、それまでよりも賃料の高い場所へ移転することが多くなります。
そのため、オフィス移転は、社内環境の改善や社員のモチベーションの向上を図れる一方、固定費の上昇などが業績を圧迫することもあり得ます。そのため、この部分でも十分な注意が必要です。
オフィス家具などを新しく購入するといったことがあればなおさらのことです。場合によっては、中古品の購入なども検討するなど、予算への細心の考慮が必要になります。
長々と書いてしまいました。読んで頂きありがとうございました。